商業マーケティング
ブランディングサポート
ブランディングの失敗要因の9割は「なにコレ?」が原因
これまで数多くのブランディングの失敗事例を目にしてきました。それらのうちのおよそ9割は、「なにコレ?」が原因です。つまり、そのブランドの特徴が、非常に分かりにくいのです。人は自分が理解できないものには価値を感じません。ですから、このようなものは、ブランドとして成立しにくいのです。
ブランディングでは訴求点(価値)を絞り込むことが重要
多くの失敗をしているブランドにおいて特徴が分かりにくくなってしまう理由は、訴求する特徴の数が多すぎることにあります。大半の人は、いきなり5つ以上の特徴を説明されても、正しく理解できません。「とにかくスゴイってことね」という理解になるのですが、「世の中そういう商品ばかりだよね」ということになり、結局1つとして印象に残らないわけです。
強く印象を残すためには、訴求する特徴を減らす必要があります。できれば1つに絞り込むべきです。もちろん、その特徴は、競合に比べて、圧倒的に優れていることが大前提です。そもそも、そういうものでなければ、ブランドにはなりえないでしょう。
ブランディングではターゲットを絞り込むことも重要
また、訴求する特徴を絞り込むということは、顧客となるターゲットを絞り込むことでもあります。その特徴を、特に強く重視している人たちが、ターゲットとなるからです。ですから、ターゲットとなる人たちが特に重視している特徴こそ優れている商品ということになります。そういった商品は非常に魅力的であり、少々価格が高くても手に入れたくなるのです。つまり、ブランドです。
出会った瞬間に「あっコレ!」と感じさせる
ターゲットとなる人たちにとってのブランドは、「あっコレ!」なのです。出会った瞬間に、「これは自分のためのものだ」と感じるものなのです。ブランドの価値とは、じっくり頭で考えて理解するものではなく、一瞬にして心で感じ取るものです。そうでなければ、ブランドにはなりません。
ブランドの価値は、心で感じるものですから、音楽やダンス、小説や絵画など、アートに似た魅力が必要になります。つまり、独自の世界観やストーリー性などが求められるのです。それが、ブランドのコンセプトの根本となります。
そのため、優れた工業製品や優れた組織構造というだけでは、どんなに優れていようとブランドにはなりえません。ブランドになるためには、優れたコミュニケーションが必要なのです。
正しいブランディングの進め方
正しくブランディングを進め、成功するブランド開発を実現するためには、さまざまな業務が必要となります。
一般的なステップとしてまずは、生活者の価値観やライフスタイルを調査し、それを踏まえたターゲティングを行います。ターゲティングでは、意識・行動の詳細を更に深掘りする一方で顧客に提供できる価値を絞り、磨いていきます。
こうしてコンセプトを設計・構築した後、コミュニケーション戦略とコミュニケーション・ツールの開発などによって、提供価値の伝え方を検討していくのです。
ブランディングサポートの成果実施事例
ブランドパワー調査により現状と課題を把握
クライアント | 飲料メーカー |
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目的 | ・カテゴリ内の商品数が多い自社ブランドそれぞれについて、利用実態や好調・不調要因を把握したい。 ・競合ブランドと比較し、自社ブランドの強み・弱みを明らかにして今後のブランド戦略に活かしたい。 |
業務サポート領域 | ■ブランドパワー調査(定量調査) ・市場浸透度把握 ・各商品の利用実態把握 ・ブランドイメージ把握 ・競合比較分析 |
ブランドパワー調査は人の「健康診断」と同じ役割
対象商品数が多く、かつ特定の課題や検証項目が明確ではない場合、通常の定量調査をブランドごとに何回も実施することはコスト・スケジュール面で非効率です。
人に例えると、問題があるか分からない段階で「精密検査」を何度も行う状態に近いものになります。そのため、まずどの部分に問題・課題があるかを見つけるために、「健康診断」と同じように、ブランド全体に対して広く調査を行う必要があります。
ブランド全体の現状を網羅的に把握するための調査設計
同一カテゴリの複数商品に対して一度の調査で網羅的に現状把握を行うために、全てのブランドにおいて共通する設問を軸に調査設計を行います。
市場浸透度把握に加え、「イメージ評価」「購入理由」「利用シーン」等、各ブランドの強み・弱みを把握するための設問を検討します。
現状の強み・弱みから、今後のブランド戦略の方向性をご提案
調査後、下記視点で分析を行い、売上拡大のために必要なブランド戦略の方向性を提案します。
・消費購買行動(認知~購入経験~リピート)は繋がっているか、途中離脱されてはいないか
・ブランドコンセプトの狙いが正しく生活者に伝わっているか
・競合ブランドと比較し、強み・弱みとなっている部分はどこか
<ケース①>
結果1:トライアル購入は獲得できているが、リピート率が低い
結果2:イメージ評価において、ブランドのコンセプトイメージが獲得できていない
→ブランドイメージにギャップがあり、リピートに繋がらない可能性が挙げられます。
ギャップを解消するために、狙いのイメージに沿ったコミュニケーション・パッケージリニューアル等が求められます。
<ケース②>
結果1:競合と比べて、購入経験・リピート率が低い
結果2:購入理由やイメージにおいて、競合の方が「味」に対する評価が高い
→自社・競合ブランドを比較した際に、「味」で商品を選んでいる人が、より美味しいイメージを持つ競合を選んでいると思われます。
そのため、美味しいイメージの強化を行う(例:試飲、サンプリング)、もしくは、別のイメージ(例:健康価値)を付加価値として訴求していく必要等が求められます。
調査により早急に改善が必要なブランドが明らかな場合には、調査結果から不調要因仮説を導き、別途検証調査を実施することも可能です。
また、ブランドパワー調査は、今後の戦略検討の参考にするだけでなく、1年間のブランド戦略の成果検証にもなるため、定期的に実施されています。